「煎りたてのコーヒーは旨くない」の根拠は?
ネットでよく見かける話。
「煎りたてのコーヒーは旨くない」
という記事がかなりあります。そう言ってる人がそう感じるならそれは個人の自由で周りがとやかく言うことではありません。しかし、商売人が
「煎りたてはガスが多いから」
とか根拠のはっきりしない理由付けもよく見かけます。そのガスの量はどうやって測ったのでしょうか。はたして物理的にそうなのでしょうか。
理由1. ガスが沢山でるからお湯が入らないという話???
- 新鮮なコーヒー程お湯を注ぐとよく膨らむ。泡(ガス)が沢山でるから。
- コーヒー豆の中は、ガスが出たあとの隙間が出来る。
- その隙間は減圧し、当然お湯が吸い込まれます。
- そのお湯にコーヒーが染みてコーヒー液が出てくる
つまりガスが出れば出るほどコーヒー粉にお湯が染み込みやすくなるのではないでしょうか。ガスが沢山出るから染み込まないという話には納得できません。百歩譲ってそのガスが出た穴は、日にちが経つと無くなるのでしょうか。それならば、古いコーヒーほど濃いコーヒーが抽出されるのでしょうか。日付の古いコーヒーは価値が高くなるのでしょうか?。
理由2. 粉と粉の間にガスが溜まってお湯が染み込まないから薄い?
古いコーヒーの粉と粉の間には何も入っていないのでしょうか?真空ですか?。普通空気が入っていますよね。空気もガスです。ガスのせいでコーヒーが薄くなるという話は、どうもあやしい。根拠薄弱ですね。
私は煎りたてのコーヒー豆で水出しコーヒーを作りますが、とても濃厚なコーヒーが出来ます。勿論豆の量は同じです。水でさえ濃厚な出来上がりです。お湯で薄く出来るとは考えられません。煎りたてでも、2〜4日たっても、濃さは変わりません。甘みと風味は煎りたてのほうが強いと思います。日にちを追うごとに酸化し風味が減っていきます。ガスだけが抜けて、旨味風味は残るという根拠は何でしょうか。ガスとともに抜けていくはずです。それが物理ではないでしょうか。私の経験では古い豆ほど味が薄くなります。
- 酸化がはじまり酸味がふえる
- さらに風味が抜け個性がなくなる
- 最後の抽出液は番茶のような色で味も殆どなくなる
1年ほど放置しながら実験した結果です。推測通りの結果です。
理由3. 最も美味しくなるのは2〜3日、3〜4日後のコーヒーである?
大きなお世話です。人の好みはそれぞれです。煎りたてが好きな方、酸化した酸味が好きな方それぞれです。豆を沢山使おうが少なかろうが自由です。美味しいの定義を他人に委ねる気には慣れません。「美味しい」という感覚的な言葉は基準に成り得ません。
4.煎りたてを売ってくれと言ったら?
大抵の店主は渋るでしょうね。
「奥入れ先出しの原則」
が商売にはついて回ります。古いものから売りたい。
「こちらのコーヒー豆はとても美味しいのですが、田舎の家族にも飲ませてやりたいので煎りたてのコーヒーを譲っていただけませんか?」
と聞いてみたら如何でしょうか。もし売ってくれたら煎りたてのコーヒーが本当に薄くてまずいのか分かるはずです。
仮に、本当に味気ないと感じたなら
普段飲んでいるコーヒー(日にちが経った)の味に慣れているだけかも知れません。あるいはその焙煎がはじめから味気ない焙煎方法なのではないでしょうか。コーヒーもオーディオも思い込みというものが必ずあります。自分を信じるのではなく理にかなった根拠を信じるのです。
感覚的表現だけで根拠薄弱
焙煎にコンピュータでデータを使い、焙煎曲線には煩いが、煎り上がりの見極めは、時間で変わる色温度や感にたよる。匂いに至っては人間には無理でその記憶となれば全く当てにならない。
お湯の温度を測る
コーヒー粉の量を測る
ドリップ前とドリップ後の使用機器を含めた全体の量を測る
アクだの雑味だのを必要以上に恐れる。
自分の作ったコーヒーの結果の原因を調べようとしない。ネットで調べた言い訳だけが慣例となり常識となる。多数決とか?。
全てが誰かがやったこと、聞きかじり、ネット情報の総数できまる。格好だけで根拠がない。結果に妥協するしかない。自分に責任もなく、まことしやかな商売人の方便だけがまかり通る。
私は自分が買って飲んでいた焙煎豆と全く同じ銘柄の生豆を買って焙煎もしますが、煎りたてが薄いとか味がないとか旨味が出ないなどということは一度も感じたことがありません。結果には必ず物理的原因があります。その原因をどのように明らかにしてくのかが重要ではないでしょうか。うまい、まずい、うすい、濃い…。など形容詞的感情表現ではただの個人の感想似すぎません。