遥かなる山の呼び声
高倉健さんのコーヒー好きは有名。三十年ほど前私が勤めていた店に健さんが入ってきた。まるで映画を見ているようにカッコよく登場する。昔の俳優さんは人前では「俳優」のまま。ファンの期待を裏切らないように努力する。俳優健さんはその最高峰で、実物のオーラはすごかった。ため息が出る。マンデリンをおかわりしてくれ、「おいしかったです」・・・しびれる声だった。
映画遥かなる山の呼び声では追われる健さんの元へお兄さんがコーヒーを差し入れる。凄いのはサイホン一式持ち込みであること。魔法瓶にいれたコーヒーでは健さんが納得できなかったのか。この不自然さはコーヒーにこだわる健さんの影響ではないだろうか。更にそのままコーヒーを入れるシーンに。そしてその淹れ方がまた上手で、実に美味そうにみえる。映画館では生唾を飲む音が沢山聞こえたことでしょう。